フロンティア・マネジメントは、経営コンサルティング×M&Aアドバイザリー×事業再生×投資をワンストップで提供する、日本発の独立系プロフェッショナルファームです。一方で、2024年12月期に営業赤字・純損失へ転落し、M&A成功報酬依存と投資事業の先行コスト、人員急拡大の歪みが一気に顕在化しているファームでもあります。現在は「第二創業」「構造改革プラン」を掲げ、自らがターンアラウンドの対象と言ってよい状況にあります。
概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | フロンティア・マネジメント株式会社(Frontier Management Inc.) |
| 従業員数 | 433名(連結ベース、2024年12月31日現在) |
| 設立年 | 2007年1月4日設立 |
| URL | https://www.frontier-mgmt.com/ |
| 株主構成、上場等 | 東証プライム市場上場(証券コード7038)/自己資本比率18.6%(2024年12月期末、連結)/主要株主:M&Aキャピタルパートナーズ(約19.5%)、創業者 大西正一郎(約18.6%)ほか。親会社はなく独立系コンサルティングファーム。 |
特徴
競合との比較
フロンティア・マネジメントは、**経営コンサルティング・M&Aアドバイザリー・事業再生・投資事業を同一ファーム内でフルセット保有する「ハイブリッド型」**が最大の特徴です。ビジネス・金融・会計・法律などの専門家を社内に抱え、案件ごとに最適チームを組成し、デューデリジェンス〜再生計画〜M&A〜PMI〜ハンズオン経営執行まで一気通貫で対応できる点は、M&A専業ブティックや戦略コンサル単体にはない構造的優位です。一方、成功報酬依存のM&A収益と人員・投資の先行コストが重なり、業績ボラティリティは競合より高く、2024年には営業赤字・純損失に落ち込んでいることが弱点です。
創業ストーリー
創業メンバーの中核は、産業再生機構(IRCJ)出身者です。創業者の大西正一郎(弁護士)と松岡真宏(金融出身)は、産業再生機構においてダイエーやカネボウ等の大型再生案件を多数手掛ける中で、企業再生・M&A・経営コンサルティングにまたがる実務を体験しました。しかし、現場では「ビジネス」「金融」「会計」「法律」などの専門家が、別々の組織(コンサル、投資銀行、会計事務所、法律事務所)に分散しており、クライアント側が各プレーヤーの部分最適(サイロ化した助言)を統合し、全体最適な意思決定を自力で組み立てざるを得ないという構造的非効率が顕在化していました。
大西らは、「多様なバックグラウンドの専門家を一つの独立系ファームに集約し、ワンストップで全体最適解を提示する」ことを構想します。これに賛同した不良債権投資ファンドのリサ・パートナーズから資本参加を受け、2007年1月にフロンティア・マネジメント株式会社を設立しました。祖業は事業再生(ハンズオン型ターンアラウンド)であり、弁護士・会計士・投資銀行出身者・事業会社経営経験者がチームを組み、経営参画まで踏み込むスタイルを徹底しました。
その後、上海子会社、シンガポール・ニューヨーク・パリ支店の開設、FCDパートナーズ(日本政策投資銀行とのJV)、フロンティア・キャピタル(投資子会社)、セレブレイン(人事コンサル)の子会社化などを通じて、再生・M&Aから投資・人材までを取り込む「エコシステム」を拡大してきました。2024年にはクロスボーダー案件・投資事業へのアクセルを強めた結果、収益の失速とコスト増が同時に表面化し、自社に対する本格的な構造改革が不可避となった、というのが現在地です。
ビジョン・ミッション
同社は創業以来、一貫して以下の**企業理念(三本柱)**を掲げています。
- クライアントの利益への貢献:企業価値の向上を通じてクライアント利益に貢献する。
- ステークホルダーの利益への貢献:株主・経営者・従業員・取引先・顧客・債権者等のバランスの取れた利益を追求する。
- 社会への貢献:顧客企業の提供する財・サービスの価値向上を通じて社会全体に貢献する。
加えて、近年は「日本発のグローバルプロフェッショナルファームとして、世界のフロンティアを切り拓く」ことをビジョンに据え、スローガン「OPENING UP YOUR FRONTIER」を掲げています。これは、個別企業固有の「フロンティア=成長余地/再生ポテンシャル」を専門家集団が共走しながら切り拓く、という意味合いです。
2024–2026年度中期経営計画では、本来「2026年に売上230億円・経常利益35億円・親会社純利益24億円」を掲げていましたが、2024年の赤字決算により前提は崩壊しました。その反省を踏まえ、2025年以降は「ONE-FMIプラットフォーム経営」と「自社エコシステム構築」を掲げています。これは、(1)コンサル3部門+M&A部門+投資子会社を一体運営し、クライアントごとに最適なソリューションを組み合わせる、(2)金融機関・PEファンド・マネジメント人材・投資先企業を巻き込み、自社起点のエコシステムとして価値創造を行う、という発想です。
ただし、理念と現実のギャップは無視できません。M&A成功報酬偏重・投資の先行コスト・人員急拡大による生産性悪化により、2024年は企業価値向上どころか株主価値を毀損する結果になっているのは事実です。その意味で、現在のミッションは「他社の再生を支援するプロとして、自社のガバナンスと事業ポートフォリオをどう立て直すか」を市場から試されている段階と言えます。
規模
※売上高・営業利益は連結ベース/単位:百万円(千円表示を四捨五入)、従業員数は連結ベースです。
| 項目 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 従業員数 | 257人 | 335人 | 369人 | 433人 | - | 従業員数は連結就業人員。2025年12月期は有価証券報告書未公表のため記載不可(2026年1月11日時点)。 |
| 売上高 | 5,741 | 7,915 | 10,025 | 9,265 | - | 単位:百万円。2023年までは増収基調だが、2024年はM&A成功報酬減少等で前年比▲7.6%減。 |
| 営業利益 | 501 | 908 | 1,251 | ▲632 | - | 2021–23年は営業利益率約9〜12%、2024年はコンサル系人件費増とM&A減収・投資事業の先行コストで営業赤字に転落。 |
主なグループ会社・アライアンス先
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主なアライアンス先 | ・M&Aキャピタルパートナーズ株式会社(資本業務提携・M&A案件・経営支援案件の相互紹介。MACPが約19.5%出資) ・株式会社日本政策投資銀行(FCDパートナーズ共同設立。FCDは2025年2月解散) ・南都キャピタルパートナーズ株式会社(フロンティア南都インベストメント合同会社の共同出資者) ・Athema(仏M&Aアドバイザリーファーム、資本業務提携・欧州クロスボーダーM&A連携) ・Corporate Finance International(CFI:欧州中心のM&Aネットワークへの正会員加盟) |
| 主なグループ会社 | ・頂拓投資諮詢(上海)有限公司:中国拠点のコンサルティング・M&Aアドバイザリー子会社 ・株式会社セレブレイン:人事・組織コンサルティング、教育研修、HRテクノロジー等を手掛ける子会社。FMIが親会社 ・フロンティア・キャピタル株式会社:経営人材派遣を伴う投資事業子会社。総額800億円規模のエクイティ調達枠を持ち、地域中核企業への投資を推進 |
| 主な子会社 | 上記3社が連結子会社の中核。いずれもFMIが60〜100%超の議決権を保有し、事業面でもコンサル・投資・人材の3機能をグループ内で補完する役割を持つ。 |
内部組織・拠点
組織
組織構造は、取締役会+監査等委員会+執行役員制をベースとし、事業面では「コンサルティング・アドバイザリー事業」と「投資事業」の2セグメントで構成されています。取締役会は7名(うち社外3名、監査等委員は4名)で、監査等委員会設置会社としてガバナンス強化を図っています。
フロント側は、2024年時点で「経営コンサルティング」「M&Aアドバイザリー」「再生支援」「その他(制度関連DD等)」の4事業を束ねるコンサルティング・アドバイザリー事業セグメントと、フロンティア・キャピタルを中核とする投資事業セグメントに分かれます。2024年の構造改革プランでは、コンサル系を5部門から3部門に再編し、M&A部門と合わせた「フロント4部門」の一体運営にシフトすることで、案件カバレッジと人材配置の柔軟性を高める方針が打ち出されています。
コーポレート側では、**CSO(戦略・事業開発)/CFO(グループ経理・IR)/CAO(機関運営・ガバナンス)**の3機能を社長直下に集約し、バラバラだった企画・管理系機能を再統合しています。サステナビリティ推進委員会とリスク管理委員会がESG・リスク横串を担い、内部監査室が独立性を持ってモニタリングを行う体制です。
ただし、2021〜23年にかけての急速な人員増(257→433人)と新規拠点・投資子会社の立ち上げが、2024年に収益の伸びと乖離し、固定費負担・管理負荷として跳ね返っていることは否定できません。組織としては、プロフェッショナル・ファームの「高コスト構造」と「案件ボラティリティ」を正面から受け止め、どこまで筋肉質化できるかが次の3年の勝負どころです。
拠点・所在地
国内の主な拠点
- 東京本社:東京都港区六本木3-2-1 住友不動産六本木グランドタワー41F(六本木一丁目駅直結)
- 大阪支店:大阪市中央区今橋3-3-13 ニッセイ淀屋橋イースト13F
- 名古屋支店:愛知県名古屋市(地域密着型経営支援拠点、2019年開設)
- 福岡支店:福岡市博多区 JRJP博多ビル内(2023年開設)
海外の主な拠点・子会社
- 上海子会社:頂拓投資諮詢(上海)有限公司(中国企業および対中進出日本企業向けコンサル・M&A支援)
- シンガポール支店:アジア(中国以外)のクロスボーダーM&A・進出支援拠点
- ニューヨーク支店:北米向けM&Aおよび進出支援拠点
- パリ支店:欧州・中東・アフリカ市場向けM&A・コンサル拠点。提携先Athemaとの連携窓口
※長野支店は2022年に廃止済み(地域拠点の集約による効率化)。
代表者及びボードメンバー・パートナーの経歴
| 役職 | 氏名 | 略歴 |
|---|---|---|
| 代表取締役会長(CEO) | 大西 正一郎 | 早稲田大学法学部卒、弁護士。奥野総合法律事務所で日本リース等の更生案件に関与後、産業再生機構マネージングディレクターとして三井鉱山・カネボウ・ダイエー等の大型再生を担当。2007年にフロンティア・マネジメントを創業し、事業再生・M&A・経営支援をワンストップで提供する独立系ファームを構築。東京電力ホールディングス社外取締役、フロンティア・キャピタル代表取締役社長CEO兼COOなどを兼務。 |
| 代表取締役 社長執行役員(COO) | 西田 明徳 | 大阪府立大学大学院経済学研究科修了、税理士。会計事務所で戦略・組織再編・IPO支援に従事後、PEファンド傘下のスイートガーデンでCFO〜執行役員管理本部長として財務リストラ・LBOリファイナンスを主導。2007年にFMI参画、アルピコグループの私的整理・経営再建にハンズオンで関与。フロンティア・ターンアラウンド社長等を経て、2025年1月よりFMI社長執行役員(COO)。 |
| 取締役 | 西原 政雄 | 大蔵省(現財務省)入省後、金融庁検査局長・監督局長、証券取引等監視委員会事務局長など金融規制・監督の要職を歴任。金融行政の知見と当局ネットワークを背景に、FMIのリスク管理・ガバナンス強化を担う。 |
| 取締役(監査等委員) | 梅本 武 | イトーヨーカ堂等を経て、株式会社セブン銀行監査役室長等を務めた内部統制・監査の専門家。FMIでは監査等委員として内部統制・ガバナンスをモニタリング。 |
| 社外取締役(監査等委員) | 大杉 和人 | 日本銀行出身。金融システム・マクロ経済の知見を持ち、他社の社外取締役経験も有する。FMIでは独立社外として監査等委員会に参画。 |
| 社外取締役(監査等委員) | 鵜瀞 惠子 | 公正取引委員会事務総局経済取引局長等を歴任し、競争法・独禁法の権威。オリンパスやブリヂストンの社外取締役経験を持ち、FMIではコンプライアンスと競争法リスクを監督。 |
| 社外取締役(監査等委員) | 南 晃 | 丸紅株式会社で常務執行役員などを務め、商社ビジネスとグローバル事業運営に精通する。クロスボーダーM&Aや投資事業の視点からFMIの戦略をチェック。 |
| 株式会社セレブレイン 代表取締役社長 | 高城 幸司 | リクルートでトップセールス・事業部長を歴任した後、人事・組織コンサルティング会社セレブレインを創業。FMIグループ入り後も人材・組織領域からグループの人的資本コンサルティング機能をリード。 |
| フロンティア・キャピタル株式会社 代表取締役社長 CEO兼COO | 大西 正一郎 | FMI創業者としての再生・M&Aノウハウを背景に、投資先への経営人材派遣と資本投入を組み合わせる「投資×ハンズオン」モデルを展開。地域中核企業の成長投資・再生投資を通じて、FMI連結グループの新たな収益ドライバー構築を狙う。 |
※役職は2024年12月期有価証券報告書および2025年1月時点の会社公表情報を統合して記載。
参照情報ソース
- フロンティア・マネジメント株式会社『有価証券報告書 第17期(2023年12月期)』
- フロンティア・マネジメント株式会社『有価証券報告書 第18期(2024年12月期)』
- フロンティア・マネジメント株式会社 コーポレートサイト「会社情報・会社概要・会社情報(英語版)」
- フロンティア・マネジメント株式会社 IRライブラリ(有価証券報告書・決算短信・株主総会情報)
- Minkabu『フロンティア・マネジメント(7038) 決算情報・業績』
- Concord Career『フロンティア・マネジメント – 注目企業情報』
- MyVision『フロンティア・マネジメントとは 特徴や社風、年収を徹底解説』
- コトラ『フロンティア・マネジメント株式会社の転職・採用情報』
- Frontier Management Inc.『HISTORY』『CORPORATE PROFILE』『EXECUTIVES』各ページ(英語版)
- Frontier Management Inc. 役員紹介(日本語版)大西正一郎・西田明徳 各ページ
- フロンティア・キャピタル株式会社『会社概要』『メンバー紹介』
- 株式会社セレブレイン『会社概要』および関連外部解説サイト
- M&Aキャピタルパートナーズ株式会社『フロンティア・マネジメントとの業務提携に関するリリース』
- Kabupro『7038 フロンティア・マネジメント 有価証券報告書リンク一覧』
- 日経電子版/IRBank等の役員・株主構成・ガバナンス情報



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